7月9日、以下の先生方をお招きして、JOBAとして初の試みである「キャリア・プランニングセミナー」を実施しました。
当日は、天候不順にもかかわらず、ソウル在住のお子様及び保護者の皆様、約80名をお迎えして盛況に終えることができました。ここでは、その速報として当日の講演内容を抜粋してお伝えします。
「APUは日本人の語学や国際感覚を鍛えるための大学ではなく、“世界中の学生が共に学ぶ大学を日本に”という目的で開学した日本で唯一の大学です。そのため、世界中で学生募集をしますが、APUの国際学生(留学生の呼称)は、家族と自国の未来のために自分が何をすべきか?世界でどの大学が最もそれを実現できそうなのか?という観点を持ち、世界地図からそれを実現出来そうな大学を選択します。日本の場合は、未だに日本国内で出来るだけ有名な『入れそうな大学』を選択する傾向に、同じ18歳でも世界と日本の学生達には大きな意識の差を感じます。」
「海外経験の長い方からは、アイデンティティで悩む話を時々お聞きしますが、これからの世の中は、世界の“真ん中に立てる人”が最も必要とされます。海外を経験すればこそ、常に文化や考え方、行動様式の比較軸を意識し、日本人としての強いアイデンティティを持ったGlobal Citizenになれるのです。」
「予想不可能かつ大転換が短い周期で起こる時代において、一生学び続けるスキル・教養・マインドを学ぶことが学部教育の役割です。これからの社会では、正しい解答よりむしろ本質は何かを『問う力』が要求されます。同質性が極めて強く、阿吽の呼吸が通じる日本社会が最も苦手としていることです。APUでは、約90カ国の学生達と学修環境を共にすることで、常に当たり前を疑い、物事の本質的な課題は何かということを問い続けます。」
「現地の方やインター校の様々な国の友人と果てしなく話をしましょう。帰国後は、若干の違和感や居心地の悪さを感じるかも知れませんが、決してPeer Pressure(同調圧力)に負けないで下さい。批判的思考力(Critical Thinking)や創造力(Creativity)、異質な人との対話(Communication)や協働する力(Collaboration)、この4Cは国を問わず、21世紀型スキルと言われており、日本国内の大学教育や入学試験も本質的な転換期を迎えます。」
「スポーツの世界のみならず、世界で勝ち残る組織は多国籍化します。そのような組織では、当然共通語を英語にせざるを得ません。英語が得意だから、英語力が受験に活かせるからと『国際系』大学を選ぶことには注意が必要です。多様性を尊重し、国境を意識することなく本気で議論できる仲間たちがいれば必然的に英語は共通語となり、また、学びの質も当然深まります。英語で学ぶからといって、日本的価値感が支配的である学修空間では大学で学ぶという目的は達成されません。」
「皆さんのように、海外で生活する方々は、毎日が新鮮な気づきの連続だと思います。違いに気づき、聞き、理解し、わかってもらい、協働することを積み重ねることがこれからの大学入試やその後の人生に必ず役立ちます。貴重な海外生活を存分に楽しんでください。」
APUは日本人の語学や国際感覚を鍛えるための大学ではなく、“世界中の学生が共に学ぶ大学を日本に”という目的で開学した日本で唯一の大学です。国際学生(留学生の呼称)と日本人が半数ずつ在籍するAPUでは、日本語と英語による日英二言語教育システムを展開しています。キャンパスでは多国籍・多文化環境を実現しています。
「男の子の成長と言うのは、曲線状に急激に上がります。女の子の成長と言うのは、ゆっくり階段状に上がっていきます。ですから、女の子はコツコツと積み重ねて成長をしますが、男の子はそれが苦手です。おしりに火がつかないと宿題に取り組まないのもその現れです。でも、ある瞬間に急激に伸びていきます。男子校では一人ひとりのその瞬間を捉えていきます。男の子に合った教育で、高2から高3の間で例えば偏差値を30~40伸ばせます。」
「男の子は“自信”がないと絶対に伸びません。一つだけでいいので好きなことを見つけてください。スポーツでも、芸術でも何でも結構です。その一つのことを一生懸命やることです。結果が出ると尚良いです。やればできるという思いを持つことが大切です。」
「中学3年間、成績がビリから10番以内の生徒がいましたが、ある小さな弁論大会で優勝しました。その子は東京理科大に現役で合格しました。本人に何がきっかけだったか聞くと、「あの弁論大会で優勝して、やればできるんだと気づいたからです」と言っていました。」
「今春の東大合格校のトップ10を見ると、10校中8校が男子校で、うち7校が私立男子校です。男子のプラス面での特徴、具体的に言えば、好奇心が旺盛でふとしたことに夢中になってしまうこと、自分の好きなことには一生懸命、競争することが大好き、照れ屋だけれどとっても優しい、このような特徴を教育に活かしていく方法を男子校は確立してきています。」
「共学校で女子がいたら伸びない趣味が、男子校にいれば伸びます。爬虫類好きな子がいて、文化祭で蛇の展示物を発表しました。女子がいれば“きもい”と言われてしまいそうですが、男子校であれば“すごいね”とみんなが評価してくれます。その子はそれがきっかけで生物学者の道を歩んでいます。何かに自信が持てるのは男子校の良いところです。」
「大学進学実績やネームバリューのみで決めないことが大切です。一人ひとりの個性をどれだけ育ててくれるか、またどれだけ手厚く一人ひとりの面倒を見てくれるか確認してください。また、説明会に参加した際に、どれだけその学校の生徒が説明会に絡んでいるかもチェックしましょう。説明会に生徒を参加させる学校は、自分の学校の生徒に自信を持っています。さらに、生徒と先生が近い関係にあるとも言えます。」
「入学した理由のトップに挙がるのは、校長先生の話です。次が学校の雰囲気で、その次が生徒の雰囲気です。まずは実際に説明会に行ってみて、校長先生の話や生徒の話を聞いてみてください。もしタイミングが合わない場合は、どの学校も広報担当の先生が個別に対応してくれますので、直接会ってみてください。その先生の立ち居振る舞いや話し方を見てください。広報担当の先生と言うのは、学校を代表する先生ですので、その先生の雰囲気が自分に合わないと思ったらやめたほうがいいでしょう。百聞は一見に如かずです。保護者だけでなく、できればお子様も一緒に学校訪問するのが一番だと思います。」
建学の精神は「天下の英才を得て之を教育す」です。“英才=逸材=優れたもの”を見出し、磨き上げ、世に出していくということです。「大学通信」で毎年行われる東京都内の塾の先生方へのアンケート調査にて、ありがいたいことに「面倒見の良い学校」7年連続第一位の評価をいただいております。
「グローバル教育と謳っている学校は多いですが、しっかりと“グローバル教育とは何か”と説明している学校はあまりありません。私たちはどう考えているかというと、生徒の“視野を広げる”ということです。」
「国連が発表した“持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)”というのがありますが、皆さんはご存知でしょうか。日本ではあまり知られていません。持続可能な開発というのは、将来の世代がそのニーズを充足する開発と定義しています。アジェンダとしては「世界を変えるための17の目標」を掲げており、「①貧困をなくそう ②飢餓をゼロに ③すべての人に健康と福祉を ④質の高い教育を皆に」といったような目標を挙げています。これらを達成するためには、経済成長、社会的包摂、環境保護という3つの主要素を調和させることが不可欠です。今と同じように地球上で生活していくためには、これらの目標を皆で共有し、取り組む必要があります。」
「それでは皆さんに実感してもらうために、いくつか資料を見てもらいましょう。」
・【衝撃】それでもあなたは激安Tシャツを買いますか?・・・・・・
(ドイツ、ベルリンでの社会実験。自動販売機には1枚2ユーロ(260円)のTシャツがサイズ別に並んでいる。ドイツの物価を考えたら非常に安い。コインを投入すると設置されたモニターのある映像を見なければ商品は出てこない仕組みとなっている。動画を見終わると、「買う」と「寄付する」という2つのボタンが表示される。全員が「寄付する」ボタンを選択する。)
・U.S. and World Population Clock
(アメリカでは8秒に1人生まれていて、12秒に1人亡くなっている。一方、全世界で見るとものすごい勢いで人口が増えている。)
「アメリカは先進国の一例として掲載されています。日本も先進国ですからアメリカと同じグループです。老人が圧倒的に増えていて、若年層が少なくなっています。それではWorld Populationのカウンターを増やし続けている要因は何か。開発途上国です。地球規模では今まさに人口爆発が起こっています。そのため、先ほどお話しました持続可能な開発を実現していかないと、世界中の食糧が枯渇していってしまいます。水もなくなります。」
「とにかく少しでも安いものを買おうと考えるのか、そうではなくて安いものを使い捨てるのではなく、良いものを大切に使うなど、自分、家族、自国から視野を広げて、地球規模でものごとを考えながら、ものを選択したり買ったりする必要性を感じると思います。そういうところまで考えながら生活するようにしないと、皆さんの孫の時代に人類、地球がどうなっているかわかりません。そのためにも、グローバルなものの考え方が必要です。」
建学の精神は“Women of Wisdom(心を育てる、国際性を身につける、学力を養う)”です。都内で唯一、高等女学校がそのまま残った昭和モダンの香りが今も漂う伝統の校舎です。今春、東京大学の現役合格者も出しています。生徒が主役の学校説明会にぜひともお越しください。
当日ご来場くださった皆様、また弁士としてソウルまでご出張いただきました立命館アジア太平洋大学 学長室 東京分室 課長 伊藤 健志 様、京華中学・高等学校 校長 町田 英幸 様、京華女子中学・高等学校 教頭 樋口 元 様、そしてソウル在住者のために学校資料をご提供いただきました以下8校のご担当者様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
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