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7/8(日)私立中高による講演会『進路選択のための学び』セミナー第二弾 実施報告

2018年7月18日

7月8日(日)、以下3校の先生方をお招きして、『進路選択のための学び』セミナーを実施しました。

ソウル在住のお子様及び保護者の皆様、約40名をお迎えして盛況に終えることができました。ここでは、その速報として当日の講演内容をダイジェストでお伝えします。

桐光学園中学校・高等学校 入試対策部長 三浦 敏行 様

桐光学園中学校・高等学校 入試対策部長 三浦 敏行 様
  • 2020年と聞くと、日本では「東京オリンピック」を連想される方が多いのですが、教育界では「大学入試改革の年」ということになります。
  • 社会が学生に求めている能力は「基礎学力」「思考力」「判断力」ですが、何よりも「コミュニケーション力」と「英語力」であると言えると思います。
  • 大学入試センター試験に代わる新しい入試は、「学力評価入試」でありかつ「人物評価入試」になるようです。東大や京大でもAO入試始まりました。
  • この入試を突破する上で、中学生高校生の多感な時期にどのような克服体験や楽しい体験をしたかが重要になると考えています。このような経験をしていないとAO入試、小論文や面接などで自分自身をPRする力を養えないからです。
  • 画一的な学習となりがちな公立でなく、実に様々な経験ができる私学はこの点において非常に有利であると言えると思います。各私学はこれに向かっていろいろな教育改革を進めています。
  • 桐光学園では、学びの本質である知的好奇心や探究心の喚起を目的としたユニーク講習を多数開講しています。学習する楽しさを実感してもらうことが何より大切と考えるからです。桐光学園は別学校ですが、多彩に用意された講習の中には、中学1年から高校3年までの生徒が男女一緒に学習できるものもあります。生徒同士が教え合うなどの環境がお互いの刺激となり、授業やその他の講習に対する学習意欲を高める効果も期待できます。
  • また、さまざまな学問分野で活躍する国公立、有名私立大学の教授、また各界で活躍されている著名人をお招きして行われる「大学訪問授業」も知的好奇心や探究心の喚起にふさわしいプログラムと考えています。毎週土曜日4時間目に行われるこの授業では、職業選択や大学学部を選ぶ上での大きなヒントになっているようです。
  • さらにこの新しい大学入試では、英語の外部試験が必修となります。1ヶ月前に文科省が7業者指名したことは記憶に新しいところです。高校3年生の4月から12月まで受けた外部試験のうち2回を大学の合否判定に使うということですから、生徒が一番取りやすい試験を普段からしっかりと練習しておくことが大切だと考えます。
  • 同じくこの英語の試験ではリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能が問われます。このうちスピーキング試験では、1対1の対面式では実施は難しいと考えています。センター試験同様56万人が重瞼するとなると、採点に約2ヶ月要することになり、現実的ではないからです。おそらくCBT方式が採用されることになるでしょう。それを見越して桐光学園ではすでにその対策も進めています。生徒たちは、画面に向かって一生懸命英語を話しています。
  • 今後も「常に学んで行くこと」を生徒たちに示し続けて行きたいと思っています。

世の中のどんな場面においても思いやりの心を持ち、人のために進んで動くことのできる「次世代のリーダー」として活躍できる人間を育成する。それが桐光の教育の目的です。必要なことは、考える力と行動する力、それらを根底から支える”自立の心”を育むこと。本校では6 年間の教育を通じて、21世紀をリードする優れた知性と人間性の育成のために「知、徳、体」のバランスのとれたきめ細かな教育活動を実践しています。

京華女子中学・高等学校 教頭 樋口 元 様

京華女子中学・高等学校 教頭 樋口 元 様
  • 近年大学のアドミッション・ポリシーが大きく変化していることから、中高もそれに対応すべく進化を続けています。これが成立して初めて中・高と大学との連携がしっかりと取れるようになると考えています。
  • 今までは大学入試が変わらないから中高の入試も変わらないと言われていましたが、今度ばかりは違うようです。直近の大学入試では、定員よりも大幅に合格者を出している大学には文科省からの補助金がカットされるということもあり、各大学とも定員を守らざるを得なくなりました。受験生にとっては非常に厳しい入試だったはずです。
  • 定員のみならず、入試の中身も大きく変化します。先程もお話がありましたが、センター試験に変わり大学入試共通テストというものが実施されます。また、数多くの大学がAO入試や推薦入試で徐々にですがeポートフォリオを合否の判断材料に使うことをすでに表明しています。
  • このeポートフォリオとは、受験生自身が自分の資格・ボランティア活動などの履歴や執筆した小論文などのデータをクラウド上にアップし、受験大学側はこのデータを合否判定に加味していくというものです。ペーパーテストだけで合否を決めるのではない新たな評価方法です。
  • 私もある大学の外部評価委員を任命されておりますが、これも大学側の危機感の現れであると思います。今までの外部評価委員は大学教授や一般企業の方々ばかりでしたが、私のような私学の現役教師を外部評価委員とすることで、しっかりと中・高と大学との連携を行う方向で具体的アクションを起こしつつあり、またその証を文科省に提出しようとしていることにほかなりません。
  • 京華女子では、今回の大きな改革にも十分耐えられるだけのディプロマポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを持ち得ております。
  • 例えば総合学習の体系化を図るべく、ブレインストーミング・弁図・チャート・マトリックスなどのシンキングツールをしっかり説明し使いこなせるように指導しています。また、授業力向上を目的として教科別のルーブリック評価を導入、更には先程お話したeポートフォリオにも連携しているClassiというICTプラットフォームも既に導入しております。これを使ってwebテストやプリントを発信したり、生徒カルテで生徒の成長を診断したり、また生徒自身が日々の学習記録を保存したりしながら大学側が求める力をしっかりと身につけられるように対応しております。
  • 入学時の偏差の割に進学実績の高い学校として、塾の先生による投票で20位以内にランキングされるほどで、大学進学実績はとても好調です。指定校推薦枠も大学から約450名と大変多くの枠をいただいております。

京華女子独自の教育プログラム「EHD」(Education for Human Development)を推進しています。現代社会の状況を見ますと、様々な社会問題が発生しています。その原因は子どもの心の歪みが原因になっていることが多々あります。そこで、女性の豊かなこころの育成のために、体験型プログラムを行っています。

立命館宇治中学校・高等学校 副校長 西川 隆史 様

立命館宇治中学校・高等学校 副校長 西川 隆史 様
  • 大学入学総合テストでは、思考力、判断力、表現力、また学びに向かう力など多様な力が問われることになります。記述式回答の導入や英語4技能も必要になるということはご存知のことと思います。今までどおりセンター試験を続ければいいのではとも考えがちですが、実はそれができない状況が今の日本にはあるのです。
  • 18才人口は毎年減少を続け第二次ベビーブーム時の約半分にまで落ち込んでいますが、大学入学者数は逆に増えています。親の世代では人口の1/4程度が大学に進学していましたが、今は人口の約半数。東大や京大の難しさは当時のものとは明らかに異なっています。人口が減るとは言えGDPは維持し続けなければならないため、教育改革や大学入試改革が必要になったという訳です。
  • また、日本の教育は優秀だと言われていますが、各種大学ランキングでも東大や京大はアジアの中でトップではなく、中国、香港、シンガポール、韓国などが上位にランキングされています。これらの国では海外留学も非常に盛んですが、日本人は留学者数減少傾向にあります。これは、日本の学校で普通に勉強していても英語話せないという英語教育の質にも問題がありますし、受験競争が画一であるため留学が進路選択にマイナスに働いているという意識が働いているということもあります。
  • そこで、文科省がこの問題を解決すべく小学校から英語教育を始める、大学入試に英語4技能を問う試験を導入する、企業の援助を受けながら海外への留学生を増やす、またアジア諸国から留学生を受け入る、IB認定校を200校まで増やすなどなど、いろいろな手を打ってきていますが、どれも始まったばかりであるというのが現状です。
  • 自民党の文部科学会では、10年後の教育改革の提言として文系理系の垣根を超える人材育成を唱えています。激しく変化している中で求められるのはスペシャリストではなく「スーパージェネラリスト」であるということです。これこそが日本の教育での課題であり、我々私学が先頭となって改革に着手すべきものと考えています。
  • 当校では大学付属の優位性を活かし、大学受験がないからこそできる自由度の高い教育、中学校から大学まで一気通貫して展開しているキャリア教育、34名ものネイティブ教員や国際的ネットワークを活用した海外研修や留学生・帰国生の受け入れなど日本屈指の国際化教育を推進しています。
  • また、自ら学び動ける生徒を育成するために、生徒が自分で選択科目を決めたり、土曜日には授業を行わず自分で物事を考えたり自分自身で様々な取り組みができるような日にしたりと、今後も時代の変化に合わせて柔軟に対応していきたいと考えています。

グローバル化と情報化が急速にすすむ現在社会において必要なのは、「どれだけ知識を覚えたか」ではなく、「答のない問題をどのように考えるか」ではないでしょうか。そして、「世のため人のために学ぶ」という明確なビジョンを持ち、仲間と話し合いながら、力を合わせて問題を解決していく力が必要です。
立命館宇治中学校・高等学校は、世界を舞台に活躍できる人間を育成するために、「立命館憲章」の精神に則った全人教育を展開します。

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